ある意味、祭。

 夕方、友達が渡したい物があるんだけど家まで来られる?と、電話してきたので、友達の家に行ってきた。台所に案内されたので、真っ直ぐ台所へ。台所は業者か?それともパーティーか?と、思う位段ボールの山。
 友の母が「ごめんなさいねぇ〜」と、お茶を出しながら、私に謝る。いや、散らかっているのは別に構わないんだけど……と、思って居たら、「貰ってくださるんですって?」ええ?何を?「お芋」聞いてないよ〜。
 友が「未だ話していないんだから、貰ってくれるかどうかはその後だから!」と、怒って、母親をリビングに追いやり、ここからが本題。「お母さんがさ。通販で…お芋買ったのよ。今、話題の安納芋ってやつ」ああ、甘くて美味しいってやつね。「でもね……」
 話によると、テレビでしょっちゅう安納芋の事をやっていて、食べたいなぁ〜買いたいなぁ〜と、思って居た母親が、チラシか何かの通販で、何時もよりお買い得になっている安納芋を発見して、お裾分けする分も考えて、欲張って10キロ注文したそうだ。人気商品だったらしく、1ヶ月かかって先日届いた安納芋。さっそくふかして食べたら、蜜は出ないわ、甘くないわ、パサパサしてるわ。調理方法が間違ったのかしらと、思って、次に素揚げしてみたが普通のお芋の天ぷらと変わらない味に。
「何やっても蜜が出てこなくてさ、普通のお芋なのよ、これ」騙されたんですか「生ものだから返品不可だし……それに特別美味しい訳じゃ無いのよ、普通のサツマイモなのよ。こんなんだから、そんなにいっぱい近所の人とか貰ってくれないでしょ?だから、貰ってくれそうな人を探してあげてるのよ」ああ、そういう事か。
 試しにふかしたのを少し貰ったら、テレビで見た蜜がジュワ〜って出てる絵面では無く、普通のふかし芋。食べてみると、普通のサツマイモ。これは……違うだろうと、素人目にも解ってしまう。友の家がこんなに在庫を抱えてるのが可哀想なので、10本ばかり貰ってきたけれども、やっぱりこういう物って騙す人居るんだねぇ。これで高かったらショックだよ。
 そんなこんなで焼き芋をオーブンで作ったり、芋のデザートを作ったり、煮物を作ったり。ある意味芋だらけの夕飯、完成。相方は仕事先で1度本当の安納芋を食べた事があったので、「これは普通のサツマイモだ」と、一言。残りの芋は実家に引き取って貰ったし、でももう芋を食べたくて仕方が無いシーズンじゃないから、あれだよなぁ、在庫抱える一方だろうな…。