各々

 夕方、マダムがやってくる。最近うちがかなりインドアで過ごしていると聞いたので、やって来たらしいが、何故か一緒にゴロゴロとテレビを見ている。「お茶に行くわよ!」と、マダムが言い出したので、車でお茶をしに行った。お茶し終わってさーどうすっかなぁと、思った時、マダムが「パチンコ行くわよ!」と、言い出す。うちのマダムはギャンブラーでは無く、パチ屋が好きな訳でも無く、時々突拍子も無くパチ屋に行きたがる人間である。
 出そうで出ない台と格闘する俺。隣の人が飛行機にこれから乗らなきゃいけないので良かったらどうぞと、台を譲ってくれた。チャンスタイム真っ最中である。マダムはトイレに行って行方不明。多分リラクゼーションコーナーで過ごしているのだろうと、思って、その台を打ち始めたらマダムやってくる。
 マダムは隣の座席に座り、俺の台をじっと見る、見る。確変が来て、確変が来て……マダムはただ横で見ているだけである。マダムに玉をあげても嫌がるので、放っておく。
 その絵面を見て思い出したのが、昔冬ソナが出たばかりの時、その頃手伝いに行ってた店のおばちゃんがヨン様好きで「3000円あげるからあたしの為にヨン様見せてよ!」と、言った時を思い出す。そのおばちゃんと余り混んでいないパチ屋に行って、ヨン様をおばちゃんにいっぱい見せてあげたなぁ。
 今日もそんな感じで。マダムは楽しいのかさっぱり分からないままである。いいのか、俺。余りに暇だからか働きたくなるマダム。ドル箱の移動をしたがって仕方が無いらしく、勝手にドル箱を持ってきたり、積んだりし始める。お客さん落ち着いて。
 そんなこんなをしていたら、閉店も近くなったので、帰る。前の人が15箱近く出してて、その後俺が6箱。かなり大量である。帰りに気付いたのはこのパチ屋、駐車場と入り口に案内する専門の制服の違う女性を雇っていて、丁寧に挨拶されたりする。なんだか凄い店だなぁと、思いながらマダムを実家に捨てつつ帰宅。
 ごめん……スーパー行き忘れた(爆)。ので、ご飯を食べに行く。何やってんだ馬鹿野郎とも言われず、お腹一杯になって帰ってきた。いやはや……マダムは楽しかったのかさっぱりだが、帰り道でパチ屋はあんな調子で大丈夫なのか、経営者を心配してた。そんなマダムの目的はなんだったのか、それもさっぱりだ。また何時か、突然誘われるだろう、パチ屋。そん時は行きつけに行こうかぬ。